妊娠すると、体のあらゆるところが変化しますね。貧血になりやすいのも、
その変化が原因です。
おなかの赤ちゃんは、お母さんの血液から酸素や栄養など必要なものを得て成長します。
お母さんは、自分と赤ちゃんの分、血液を全身に送らねばなりません。
ですから、妊娠した女性の血液量は増加するようになっています。
ところが、それに比例して赤血球が増えるわけではありません。赤ちゃんは、お母さんの状態
など関係なく、鉄分を取っていきますから、お母さんは鉄分不足の貧血になりやすいのです。
妊婦のおよそ30?40%は鉄欠乏性の貧血になる、というデータもあります。
これは、ある程度までは生理的貧血とみなされるのですが、食事に十分な鉄分が
含まれていないと、貧血はどんどんひどくなってしまいます。
お母さん自身には、めまいや動悸、息切れ、疲労感といった、ごく当たり前の貧血の症状が
現れます。貧血が悪化すれば、おなかの赤ちゃんの発育が悪くなります。未熟児になったり、
体が弱い子どもになることも心配されます。そもそも、お産そのものが、
微弱陣痛などでトラブルを起こしやすくなるという報告もあります。
貧血を放置することには、百害あって一理無し。
とにかく、少しでもいい状態にもっていくことが肝心です。貧血の治療は、
基本的には鉄剤の服用です。鉄剤だけでなく、
その他の栄養素(ビタミン類やたんぱく質)も考慮して治療を行なうのが普通です。
できれば、治療が必要になる前、つまり妊娠前から栄養には気をつかったほうがいいのです。
なぜなら、妊娠前に貧血だった女性が、妊娠中の貧血になることが多いとわかっている
からです。
貧血は鉄剤で治療しますが、人によっては便秘になったり、
胃の調子が悪くなったりすることもあります。
やはり、普段の食事でとりたいものですね。
鉄分が多く含まれている食材としては、
レバー(豚、鶏、牛の順)
あさり
ひじき
きくらげ
ごま
小松菜
ほうれんそう
といったものが知られていますね。
また、ビタミンCは造血効果をアップし、また鉄分の吸収を高める役割を果たします。
たんぱく質も鉄分の吸収を助けます。鉄分だけでなく、ビタミンCやたんぱく質も
とるようにしましょう。
妊婦といえば、昔から「すっぱいもの」を好むとされますが、実際に梅干しやレモンに含まれるクエン酸も、鉄分を吸収しやすくするお手伝いをします。ご飯のおともに、塩分が気にならない程度の梅干しや、レモンをつかうのものいいですね。
(注意)
鉄分をとっても、食事の直前や直後にタンニンの多いお茶を飲むと、鉄分とタンニンが結びついてムダになってしまいます。
ちょっと時間をおいてから飲むか、タンニンの少ないお茶(麦茶やハーブティー、番茶など)にしておくといいでしょう。